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2年間、月次目標を達成できなかった僕が、プロダクトビルダーになるまで

SaaS営業で挫折し続けた2年間。達成率67.3%、週30時間のCRM入力、そして無力感。でも、その失敗こそが「なぜツールは使われないのか?」という問いを生み、プロダクト開発への転機となった。売上は結果、プロセスこそが本質——失敗から学んだ、営業の真実。

2025/10/22
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AI営業, プロダクト開発, Revenue Velocity
2年間、月次目標を達成できなかった僕が、プロダクトビルダーになるまで

イラスト: DALL-E 3 by Revenue Velocity Lab

毎朝9時、Salesforceを開く。目標達成率67.3%。3ヶ月連続で月次目標を達成できていない。上司との1on1では「活動量が足りない」と言われ、僕は毎週30時間以上をCRM入力に費やした。商談件数は増えた。でも、売上は増えなかった。毎晩コーヒーを飲みながら、「自分は営業に向いていないのかもしれない」と考えていた。


失敗の告白: 数字が全てを物語る

SaaS営業として入社したとき、僕は自信に満ちていた。前職での営業経験もあったし、「やればできる」と信じていた。でも2年間で積み上がったのは、こういう数字だった。

2年間の記録:

  • 平均達成率: 67.3%(目標100%)
  • 最長連続未達: 5ヶ月
  • 週あたりCRM入力時間: 30時間以上
  • 商談数: 月平均45件(チーム内で3位)
  • 受注率: 11.2%(チーム平均15.8%)

数字だけ見れば、僕は「頑張っているが、結果が出ない営業」だった。上司は言った。「活動量を増やせ。もっとCRMを使え。データを入れろ。」僕は従った。毎日、朝の1時間半をCRM入力に費やし、商談後は必ず30分かけて詳細を記録し、週末にはパイプラインレビューのために3時間をかけてレポートを作成した。でも、売上は増えなかった。

当時の僕は、「もっと頑張れば、いつか結果が出る」「CRMに入力すれば、マネージャーが助けてくれる」「プロセスを守れば、数字はついてくる」と考えていた。今振り返ると、これらは全て本質を見誤っていた。


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Here's the thing: 営業ツールは誰のためのものか

チームミーティングで、新しいAI営業ツールの導入が発表された。「これで営業効率が劇的に向上する」とマネージャーは言った。3つ目のツールだった。過去2つは、導入3ヶ月後には誰も使っていなかった。そのとき、隣に座っていたトップセールスのSarahがつぶやいた。「また使わないツールが増えるな」

彼女の達成率は常に120%を超えていた。でも、CRMへの入力時間は週5時間以下だった。僕の6分の1だ。ミーティング後、僕は彼女に聞いた。「なぜあなたはCRMをそんなに使わないのに、売上が上がるんですか?」

Sarahは笑って答えた。「CRMは結果を記録する場所であって、結果を作る場所じゃないから。あなた、CRMに入力することが仕事だと思ってない?」

僕は2年間、「活動すること」が目的になっていた。CRMに入力すること、商談数を増やすこと、プロセスを守ること。それらが「仕事」だと思い込んでいた。でも、本当の仕事は顧客の問題を解決することだった。Sarahはそれを理解していて、だから彼女はCRMに時間を使わず、顧客と話すことに時間を使っていた。


Until... データが教えてくれたこと

その日の夜、僕は自分の商談履歴を全て見直した。過去2年間で550件の商談、そのうち62件が受注。受注した案件には、ある共通点があった。顧客が自分で問題を言語化できていた案件だけが、成約していた。

つまり、僕がCRMに費やしていた週30時間は、本質的には無駄だった。顧客の問題を理解し、解決策を提示するための時間に使うべきだった。でも、僕だけが悪いわけじゃない。システムそのものに問題があった。

営業ツールは、「活動を記録すること」を前提に設計されている。でも、営業の本質は「顧客の問題を解決すること」だ。この2つは、根本的に違う。だから僕は、こう問い始めた。「なぜ営業ツールは、使われないのか?」


So I switched: 営業からプロダクト開発へ

その問いを抱えたまま、僕は会社を辞めた。次の仕事は、営業ではなくプロダクト開発だった。といっても、最初からプロダクトマネージャーになれたわけじゃない。最初の3ヶ月は、カスタマーサポートとして、ユーザーの声を聞き続けた。

そこで気づいたのは、営業ツールを使わない理由は「面倒だから」ではないということだった。ユーザーは言った。「このツールで何が変わるのか、わからない」「入力しても、売上が上がる気がしない」「結局、マネージャーのための管理ツールでしょ?」彼らは、ツールに価値を感じていなかった。

僕はそこから、ある仮説を立てた。営業ツールは「何をすべきか」を教えるのではなく、「何が終わったか」を記録するために設計されている。だから使われない。では、逆に考えてみたらどうだろう?「何をすべきか」を教えてくれるツールなら、使われるのではないか?この仮説をもとに、僕はチームと一緒に、新しいコンセプトを作り始めた。それが、Revenue Velocity理論だ。


Revenue Velocity: プロセスこそが本質

Revenue Velocityは、シンプルな考え方だ。売上は結果であって、プロセスこそが本質である。従来の営業ツールは、「結果(売上)」を記録することに特化している。でも、結果は変えられない。変えられるのは、プロセスだけだ。

僕たちは、Revenue Velocityをこう定義した:Revenue Velocity = (案件数 × 平均単価 × 成約率) ÷ 平均商談期間。この式の美しさは、全ての要素がプロセスで改善できることだ。案件数は、どのリードに優先的にアプローチするかで決まる(リードスコアリング)。平均単価は、どのタイミングでアップセルを提案するかで決まる(プレイブック)。成約率は、顧客の問題をどう理解するかで決まる(コンテキスト理解)。平均商談期間は、どのステップでボトルネックがあるかで決まる(プロセス分析)。

これらをAIが自動で分析し、「次に何をすべきか」を教えてくれるなら、営業は変わる。CRMに週30時間を費やす代わりに、顧客との対話に30時間を使えるようになる。


営業は確率論である

プロダクト開発を通じて、僕は営業を確率論として捉え直すようになった。営業は、運や才能だけで決まるものじゃない。でも、「頑張れば必ず結果が出る」という単純な世界でもない。営業は、確率を上げるゲームだ。

バスケットボールに例えるとわかりやすい。フリースローの成功率が70%の選手は、10本中7本を決める。でも、10本連続で決めるわけじゃない。最初の3本を外すこともある。大事なのは、長期的に成功率を上げることだ。営業も同じで、1件の商談では運の要素が大きいが、100件の商談ではパターンが見え、1,000件の商談では確率が安定する。

だから、営業ツールがやるべきことは、「この1件を必ず成約させる方法」を教えることじゃない。「100件の商談全体で、成約率を70%から75%に上げる方法」を教えることだ。これが、Revenue Velocity理論の本質だ。


What about you?

もしあなたが、かつての僕と同じように、目標未達に悩んでいるなら、一度立ち止まって考えてみてほしい。あなたは、「活動すること」を目的にしていないか?あなたのツールは、「何をすべきか」を教えてくれているか?あなたは、プロセスを改善することに、どれだけ時間を使っているか?

僕は2年間を無駄にした、とは思っていない。あの失敗があったから、今の僕がある。でも、もし当時の僕に会えるなら、こう伝えたい。「売上は結果だ。変えられるのは、プロセスだけだ。そして、プロセスは確率論で改善できる。」


次のステップ

この記事を読んで、もし何か1つでも心に残ったなら、今週、1つだけ試してほしいことがある。あなたの過去3ヶ月の商談データを見直して、こう問いかけてみてほしい。「成約した案件と、失注した案件の違いは何か?」その答えが、あなたのプロセス改善の第一歩になる。

そして、もしあなたが「Revenue Velocityをもっと知りたい」と思ったなら、Optifaiを試してみてほしい。僕たちは、「次に何をすべきか」を教えてくれるツールを作っている。コーヒーを片手に、一緒に営業の未来を作りませんか?


関連記事:

  • 営業ツールが使われない3つの理由(Coming Soon)
  • Revenue Velocity理論の実践ガイド(Coming Soon)
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参考資料:


この記事は、僕の個人的な経験と学びを共有するものです。全ての営業スタイルに当てはまるわけではありませんが、もし何か1つでもヒントになれば嬉しいです。

— Alex Tanaka

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